住民主体の移送サービスに関する学習会~2

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 昨日23日、茅野市役所で「住民主体の移動・外出支援の取り組み」の学習会が行われました。移送サービスに関して2回目となります。
 本日、講師をされたのは、NPO法人全国移動サービスネットワーク副理事長の河崎民子氏です。

 学習会は以下の資料に基づいて行なわれました。 皆さんと情報を共有いたしたくPDFファイル作成しましたので載せておきます(万一、コピーライト等何か問題があれば削除しますのでご連絡下さい) 。

 まずは移動・外出が困難な高齢者が増えていること。全国買い物弱者は700万人という推定もあるそうです。買い物ができない/食料品アクセスが困難であるということは生存だけではなく、生きがいの喪失や認知症や介護費の増加にもつながる深刻な問題です。茅野市にもかなりの割合で食料品アクセス困難人口がいるそうです。

茅野市役所

 高齢者の事故で免許返納の呼びかけはありますが、実際、それを行ってしまうと移動手段が奪われ生活が困難になる方々が多いのです。

 そこで出て来るのが様々な交通手段。許可制度である公共交通機関にプラスして、2006年から登録制度で自家用有償旅客運送の制度が始まっています。これは非営利の範囲であれば運賃を取ることが出来ます。さらに、互助活動として許可も登録も不要な運送が存在します。

 それから許可制度である、コミュニティバスの実施例。登録制度である「公共交通空白地有償運送」の実施例が説明されました。なんでも以前は住民やNPO提案による地域交通の実施については、合意に時間が掛っていたそうです。その反省を踏まえて、「検討プロセスに関するガイドライン」が最近策定されたとか。

 さらに許可登録を要しない実施例も説明されました。こちらは第一回の学習会で学んだことと共通しています。

 興味深いと感じたのは、国交省、運輸局といったお役所の方でも、高齢者の足の確保という国民のニーズにこたえるために、現在の制度が実際、ついていってないという認識があるのでは、というお話でした。急激な高齢化が既存の制度設計の枠組みを超えてしまったのかも知れません。

 そのため、既存の制度との整合性を高めるために、許可も登録も不要な互助制度の場合、運賃として取ってはダメ(白タク行為となってしまう)、しかし謝礼はOK。会費を募る場合には、運賃とみなされないように、移送サービスを利用しない人も含めて広く会費を取らなければいけない(サービスを利用しない人がなぜお金を支払うのか?)、といった、やや無理がある話になってしまっているようです。

 面倒くさいことを言わずに、一切お金の授受無しでやるということに関しては、河崎氏はネガティブでした。失礼ながらさすが大変現実的だなと感心したのですが「それでは1年は続くかも知れない。しかし2年は続かないだろう」とのこと。一切金銭の授受なしで運送サービスを住民が他の住民に提供していると、そこにはどうしても不快な上下関係が生じてしまうとか。さらには夫婦間のトラブルも発生するとか(なんで、あんた他人様のボランティアばかりやっているのよ! 家のボランティアもしないさい!!と喧嘩になるそうです)。

 つまり、住民の互助活動というボランティアが基本であっても、移送サービスに関してお金の授受がゼロということは長く続けるためには難しいというのです。そこで、運賃ではなく謝礼で取れ、サービスを利用しない人も含めて会費を取れ、といった、ある意味、形式主義が生まれてしまうようです。

 そうした工夫の例として、付き添いと運転手の二人制度というものも紹介されました。高齢者の移送サービスを二人で行うようにして、運賃は払わず、けれど付き添い費用を支払うというのです。付き添い費用の支払は、規制されていないので。

 白タクといった違法行為であるとなれば、当然、罰則の対象となるのですが、自治体が主体となって住民の互助活動を行なっているような場合、いきなり罰金といったことは、考えにくいそうです。これに関しては、そこまで神経質になる必要は無いというニュアンスでした。
 現実の運用としては、あまりにも目に余った場合、まず「やんわりと注意」されるだろうとのこと。
 運賃無しのはずが、車の中に金銭を入れる箱を置いてある例もあったとか。それはさすがに無いだろうと、「やんわりと注意」されたそうです。

 また自治体で運送サービスの制度を作り上げたとき、「特に男の人は、これで良いですかと運輸局なりに相談したがる」とのこと。ところがお役所の方としては、基本、登録・許可が仕事であり、聞かれれば「登録してください。許可を取って下さい」と言わざるを得ないとのこと。そして結局、システムそのものが沈没するというケースが多いとのこと。
 そういう場合には、「私に事前に相談して欲しい」と河崎氏。 人間社会であり、聞き方というものがどうしてもあるのでしょう。

 それから、ある時点で議論をやめなければいけない、とにかくやってみることだ、とのこと。イベントなりで一度やってみる、そうすれば修正点も見えてくる。どこかで実行しなければ、この移動問題は解決できない、ということも河崎氏は強調されていました。

 マイカーを互助サービスの移送で使う場合の、車の保険に関して、同乗者保険があることの確認。それから、月の半分以上がボランティアの移送サービスで使われるといった場合、保険会社と相談してくれとのこと。その場合、業務用となる可能性があるそうです。業務用となった場合、年間5千円ぐらい保険料が高くなるかも知れないとのことで、自治体として対応が必要かも。ちなみにあくまでも業務用であって事業用ではないそうです。事業用とすると、それこそタクシーなどの区分と同じになって、保険料ははるかに高くなるとか。

 保険に関しては、事故が起きた場合、年間の保険料の割引がなくなり、高くなってしまう。その差額を自治体などで補助するといった対応も必要かもとのこと。

 それから事故が起きた場合、どうする?という話は必ず出るが、基本の考えは「事故を起こさないようにする」ことだと。実際、河崎氏が関わった多くの移送サービスの中で、深刻な事故は全く起きていないそうです。せいぜい車の横を擦ったぐらいで。

 また事故を起こさないための、講習制度もあるそうで、2~3日の講習でも受講を勧めるとのこと。この講習制度を利用することで、ボランティアのドライバーの確保に役立てている自治体もあるそうです。

 それから、社会福祉法人に頑張って欲しいというお話もされていました。プラスアルファの社会貢献、業務として、日中使っていない車を利用し、買い物弱者へのヘルプといったことを、ぜひ考えて頂きたいと。

会場入り口
8階大会議室で行われました。