蓼科で学んだ、雪と家の危険な関係

2019年7月11日不動産に関する注意点不動産, 屋根, 建築, 雨漏り, , 雪害

 蓼科に移住して、雪と家の関係について「なるほど!」と思ったことが色々あります。 そんな雪と家の関係について書いてみます。 雪国で暮らす人にしてみれば常識かもしれませんが、都会で暮らしている分に意識する機会は少ないはずです。

 なお筆者は専門家では無く、考え違いもあるかも知れません。お気づきのことがありましたらお知らせください。適宜、このページも修正したいと思います。

 まずは雪に関する基本的なこと。蓼科に来た当初は考えもしなかったことです。

●氷点下でも雪は溶ける。 ・・・日中の気温が零度を下回っていても、太陽に暖められると、太陽光が当たる雪の表面は少しずつ溶けます。また太陽光で温まった屋根、壁などに接する雪も溶けるでしょう。

●溶けた雪は氷る。 ・・・日中、太陽光で溶けた雪は水となります。そして水は浸み込みます。水は、夜になれば(より寒くなれば)再び凍ります。凍れば膨張します。

●古い雪は氷の割合が増える。 ・・・溶けて凍ってを繰り返すうちに、雪はだんだん固くなり重くなっていきます。

 次は家に関する基本的なこと。

●人が住む家は暖かい。 ・・・冬季はどの家でも暖房を使います。どれだけ断熱材を使っていたとしても、家の屋根・外壁に全く熱がもれないということは有りません。この結果、ツララの太さを見れば、どの家に人が住んでいるか、一目で分かります(人が住む家のツララは太い)。これに気づいたときは、そうだったのか!と大発見をした気持ちになりました。^^;

●古くなると、屋根の滑りが悪くなる。 ・・・新築の家の屋根に雪が降って積もっても、日中の太陽光などで暖められれば、つるっと雪が落ちるものです。同じ屋根が10年20年と古くなれば、表面が滑りにくくなり、雪はなかなか落ちなくなります。

●古くなれば、防水加工の効果は落ちる。 ・・・材質にもよるでしょうが、一般的に屋根も外壁も、古くなれば防水加工の効果は少しずつ落ちてくるでしょう。継ぎ目などの隙間も少しずつ大きくなってしまいます。

 以上、どれも当たり前のことだとは思うのですが改めて考えると、家と雪の関係で気を付けたいことが見えて来ます。思いつくままに書いてみますね。

突然の雨漏りの訳

 長く人が住んでいなかった別荘を購入。購入時には雨漏りの後は全くなかった。けれど住み始めて1~2年で雨漏りがするようになった。こんな話を時々、聞くことがあります。この原因は、次のように説明できるでしょう。

  中古住宅であったため、屋根は古く滑りが悪くなっており、屋根に降った雪はなかなか自然に落ちなくなっていた。けれど今まで人が住んでいなかったので屋根が暖められることは少なく、雪が溶けて凍るというサイクルは太陽光によるものしかなかった。そのため雨漏りするまでには至らなかった。
 しかしながら人が住むようになって暖房を使い、屋根が暖められるようになり、屋根の上で大量の雪が溶けて凍るサイクルを繰り返すようになった。 その結果、固く重くなった大量の雪が屋根を圧した。 また溶けた雪は、水となって古い屋根のわずかな隙間にしみこみ、その後、凍って膨張し隙間を広げてしまった。

  中古住宅の購入時、雨漏りをしていないからといって居住を始めればどうなるかはわかりません。

屋根から落下する氷の塊

 蓼科の別荘地に建てられた家の多くは、デザイン性が大変に高いものが多くあります。屋根の上にぽっかり空けられた天窓。最高に眺めが良さそうな出窓。 あるいは暖炉の煙突。
 とても素敵な外見に思わず憧れてしまうのですが・・・

蓼科の別荘の屋根の多くには、天窓がついています。


 そんな素敵な家も古くなれば、屋根の滑りが悪くなるかも知れません。そんな家に人が住めば暖房で雪が溶けて凍るサイクルが拡大します。それに加えて屋根の形状が天窓・出窓などで複雑となれば、否応なしに屋根の上に滞留する雪の量は増えてしまうでしょう。・・・それは時に巨大な氷の塊へと成長するかも。 ・・・そしてある日、突然、百キロも超える氷の塊が屋根からドドーンという地響きを立てて落下するかも。それがどれほど危険なことか! 真下に人がいれば命にかかわりますし、ボイラーやエアコンの室外機あるいは自動車などがあればひとたまりもありません。

シンプルな屋根と複雑な屋根

 こうしたことを考えると、複雑な構造を持つ屋根よりも、シンプルな屋根の方が(氷の塊ができにくい分)安全であり、雨漏りがしにくく、耐久性も高いと言えるでしょう。
 もちろん、デザイン性の高さ・見た目の格好良さを否定しているのではありません。服でも自動車でも異性でも^^;、格好良いものは、それなりの手間・コストがかかるということです。家もまた例外ではありません。

急こう配の屋根の問題

 急勾配の屋根なら、雪はたまりにくいでしょう。デザインとしても、いかにも雪国という雰囲気があり、格好良いものです。けれど何かあったときの修繕作業を考えると、急勾配の屋根にも欠点があります。もし勾配がきつくて作業員が安全に屋根の上で作業できなければ、足場を組む必要があるのです。勾配が緩ければ簡単に修理できる場合でも、足場を組むとなれば、かなり大ごとです。当然、余計な支出が掛ることとなるでしょう。

軒先ゼロの家

 軒先がどれぐらい外に出ているのかも、家の耐久性に影響を与えます。極端な例として軒先ゼロの家があるとします。

軒先が出ていない屋根

 雪が降って屋根から落ちれば、次のようになるでしょう。

屋根から落ちた雪は固く重く、外壁に凍り付き、除去するのは容易ではない。

 ご覧いただく通り、雪は外壁に直接べったりと接してしまいます。そしてこの雪は、太陽光と家の暖房で溶けて隙間にしみこみ凍って膨張し、というサイクルをずっと繰り返すこととなります。その年の降雪量や標高にもよりますが、12月後半から3月いっぱい、このサイクルは毎日繰り返されてしまいます。つまりは外壁の防水性能が4カ月間延々と試されます。

 逆に軒先を出せば出すほど、屋根から落ちた雪は外壁から遠くなり外壁への影響は小さくなります。とはいえ、軒先を大きく出すことには強度・コスト・スペースの確保といった問題があり、また家の中が暗くなりがち、ということもあるでしょう。

屋根の雪がどこに落ちるか

 屋根の雪がどこに落ちるかも、ちょっと想像してみて頂ければと思います。屋根の形によって、一か所にたくさんの雪がまとまって落ちるということもあるでしょう。その場合、どんな影響があるのか。石油タンクが傾むかないか。駐車場への影響は?などです。
 また溶けた雪の排水に問題があれば、春になれば庭がいつまでもグシャグシャにぬかるんでしまう、といったこともあるでしょう。

交差する屋根

 増築をした場合など、屋根が交差していることがあります。その場合、屋根から落ちる雪の量は二倍になります。

 それでも(外壁に影響がないなど)支障がない十分な場所が確保されているかどうか。ご注意いただければと思います。

雪でダメージを受けた、住宅の外壁